先代の代から使っている販売管理や在庫管理のシステムは、画面こそ地元のシステム会社が作ったものですが、裏側でデータをためているのはMicrosoftのデータベースソフト「SQL Server」であることがあります。Windows Serverの入れ替えを相談したときや、保守会社から「データベースの版上げ」の見積もりが届いたときに、初めてその名前を目にした方もいるはずです。

この記事は2026年11月8日時点で、Microsoftのライフサイクル情報と、SQL Serverの拡張セキュリティ更新プログラム(ESU)の公式ドキュメントを確認して書いています。

先に要点をまとめます。

  • SQL Server 2016の延長サポートは、2026年7月14日(米国太平洋時間)に終わっています。 これ以降、Microsoftは通常のセキュリティ更新を出しません。システムはそのまま動き続けますが、守られていない状態になります
  • 有償の延長更新(ESU)を買えるのは、Standard版とEnterprise版だけです。 無償のExpress版とWeb版は対象外なので、新しい版へ上げるか、移すか、作り直すかを決めることになります
  • 社長がまず確かめるのは「版」と「種類(エディション)」の2つです。 この2つが分かれば、システム会社に何を聞けばよいかと、選べる手段の幅が決まります

どんな会社向けか

  • 先代の代からの業務システムがあり、それを作ったシステム会社に保守を頼んでいる
  • 社内に置いたサーバーで動いていて、中身を説明できる社員がいない
  • 保守会社から「SQL Server」「データベース」という言葉の入った見積もりや案内が届いたが、急ぐ話なのか判断できない
  • 同じサーバーのWindows Serverのサポート終了にも対応が必要だと言われている

Windows Server自体の期限と対応の進め方は先代の代から動くWindows Serverのサポート終了(EOL)対応で扱っています。この記事は、その上で動いているデータベースの話に絞ります。

SQL Server 2016のサポートは、いつ終わったのか?

延長サポートは2026年7月14日に終了しました。ESUを契約した場合に限り、重大なセキュリティ更新を2029年7月17日まで受け取れます。

Microsoftの製品には、新機能の追加や不具合の修正が受けられる「メインストリームサポート」と、その後にセキュリティ更新だけが続く「延長サポート」の2段階の期限があります。延長サポートも終わった状態が、いわゆるEOL(サポート終了)です。主な版の期限は次のとおりです(日付は米国太平洋時間)。

版延長サポートの終了日有償の延長更新(ESU)の期限
SQL Server 20142024年7月9日(終了済み)2027年7月8日まで
SQL Server 20162026年7月14日(終了済み)2029年7月17日まで
SQL Server 20172027年10月12日―
SQL Server 20192030年1月8日―

出典: Microsoft Learn「SQL Server 2016 - Microsoft Lifecycle」、「SQL Server 2017」、「SQL Server 2019」、「拡張セキュリティ更新プログラム FAQ」

サポートが終わっても、データベースが止まるわけではありません。毎日の受注入力も請求書の印刷も、昨日と同じように動きます。変わるのは、新しい脆弱性が見つかっても修正が届かなくなることと、MicrosoftのFAQにあるとおり、サポート契約を持っていても技術サポートの問い合わせを受け付けてもらえなくなることです。

先代のシステムが、SQL Serverを使っているかどうかをどう確かめるか?

保守契約書・納品書・見積書の記載と、サーバーにインストールされているソフトの一覧の2か所で確かめます。最後はシステム会社に版と種類を書面で答えてもらいます。

社長が自分でサーバーを操作する必要はありません。次の順で、手元の書類から見ていきます。

  1. 保守契約書・納品書・過去の見積書を探す。 「SQL Server」「Express」「Standard」という語が、構成品やライセンスの欄に書かれていないかを見ます。ライセンスを自社が買ったのか、システム会社の製品に含まれていたのかも、ここで分かることがあります
  2. 社内でサーバーの画面を開ける人に、ソフトの一覧を見てもらう。 Windowsの「アプリ」や「プログラムと機能」の一覧に、「Microsoft SQL Server」の後ろに年号の付いた項目があれば、その年号が版です
  3. システム会社に、版・種類・適用済みの更新(サービスパック)を書面で聞く。 電話の口頭回答だけだと、後で比べられません。メールで返してもらいます

調べた結果は、承継したらまず作る、システム管理台帳のテンプレートの台帳にある「ソフトウェア」の行に、版と種類と期限を書き足しておきます。サーバーが1台でも、OSとデータベースで期限が違うので、行を分けて書くのがこつです。

Express版かStandard版かで、選べる手段はどう変わるのか?

Express版とWeb版はESUの対象外です。Standard版とEnterprise版は、条件を満たせばESUで最長2029年7月まで延ばせます。

SQL Serverにはいくつかの種類(エディション)があり、無償で使えるのがExpress版です。Microsoftは、Express版を独立系のソフトウェア会社や開発者がアプリケーションを作るときの選択肢として案内しています(Microsoft Learn「SQL Server 2025 のエディションとサポートされている機能」)。地元のシステム会社が作った業務システムに、Express版が組み込まれて納品されていることがあるのはこのためです。

SQL Server 2016を使っていると分かったときに、Express版・Web版ならESUは使えず版上げ・移行・作り直しを選び、Standard版・Enterprise版ならESUで最長2029年7月17日まで延ばしつつ期限までに版上げや移行を決める流れ。同じサーバーのWindows Server 2016は2027年1月に終わるのでまとめて計画する。

種類ESUESUを使う条件主な手段
Express / Web対象外―新しい版へ上げる、別の環境へ移す、システムを作り直す
Standard / Enterprise対象最新のサービスパックを適用している。そのうえで、エンタープライズ契約等のソフトウェアアシュアランスがあるか、サーバーをAzure Arcに接続して従量課金で申し込むESUで時間を確保しながら、期限までに版上げや移行を決める

出典: Microsoft Learn「拡張セキュリティ更新プログラムとは - SQL Server」、「拡張セキュリティ更新プログラム FAQ」

ESUで届くのは、Microsoftのセキュリティ対応センターが「重大」と評価した脆弱性の更新だけで、新機能や個別の修正依頼は含まれません。また、2016の期限を過ぎてから申し込んだ場合でも、ESU期間の初日である2026年7月15日(UTC)までさかのぼった分を含めて請求されるとFAQに書かれています。ESUは「あと何年使うか」を決めるまでの時間を買う手段で、使い続けるための答えにはなりません。

システム会社に、何を聞けばよいか?

版と種類を確かめたら、「新しい版で今のシステムが動くか」「同じサーバーのOSをどうするか」「データの控えが戻せるか」を聞きます。

先代の代から付き合いのあるシステム会社に聞くことを、書面で渡せる形にまとめます。

  1. 使っているSQL Serverの版・種類・適用済みのサービスパックは何か。ライセンスは自社の名義か、御社の製品に含まれているものか
  2. 今のシステムは、SQL Server 2019・2022・2025のどれで動作を確認しているか。確認していない場合、動作確認と移し替えにどのくらいの作業が要るか
  3. 同じサーバーのWindows Serverの版と、その期限はいつか。データベースとOSを一度に入れ替える計画にできるか
  4. データベースの控え(バックアップ)を毎日取っているか。その控えから実際に戻せることを、いつ確かめたか
  5. 版上げをする場合の作業日程と、業務を止める必要がある時間帯はいつか
  6. 版上げをせずに使い続けた場合、御社として保守をいつまで引き受けられるか

6番目は聞きにくい質問ですが、相手の会社が古い版の保守をいつまで続けるつもりかを知ることは、契約を見直す時期を決める材料になります。保守契約の契約書に、OSやミドルウェアのサポート終了後の扱いが書かれていないかも、あわせて確認しておきます。

版上げ・延長更新・移行・作り直し、どれを選ぶか?

あと何年そのシステムを使うかで決めます。数年以上使うなら版上げか移行、近いうちに作り直すならESUや短期の延命でつなぐのが目安です。

手段向いている条件気をつけること
新しいSQL Serverへ版上げするシステムをあと数年以上使う。システム会社が新しい版での動作を確認できるExpress版なら新しい版も無償で使えるが、動作確認と移し替えの作業費はかかる。SQL Server 2025のExpress版は1データベース50GBまで
ESUで延ばすStandard版・Enterprise版で、作り直しや移行の計画がすでにある最長でも2029年7月17日まで。届くのは重大なセキュリティ更新だけ
クラウドのデータベースや別の環境へ移す社内のサーバーそのものを減らしたい。OSの入れ替えも同時に控えている業務ソフトが移行先で動くかの確認が要る。進め方はオンプレミスの先代サーバー、入れ替えかクラウド移行かで扱っています
システムごと作り直す・置き換える業務ソフト自体の開発言語や画面も古く、改修できる人が限られている時間がかかるので、その間の延命手段を同時に決める。判断の軸は先代のシステムを「延命するか、作り直すか」の判断基準を参照

業務ソフトがVB6やDelphiのような古い開発言語で作られている場合は、データベースだけ新しくしても、アプリ側が先に限界を迎えることがあります。その場合の見極め方はVB6・Delphi製の先代システムはいつまで動くかにまとめています。

Windows Server 2016の期限と、どうまとめて考えるか?

SQL Server 2016は、Windows Server 2016の上で動いていることがあります。Windows Server 2016の延長サポートは2027年1月に終わるので、2つを1つの計画にまとめるのが手間を減らす近道です。

データベースだけ先に新しくして、数か月後にOSの入れ替えでもう一度システムを止める、という順番になると、業務を止める回数も、システム会社の作業費も2回分かかります。社内に置いたオンプレミスのサーバーで動いている場合は、OSとデータベースの期限を並べて、次のどれかに決めます。

  • 新しいサーバー(またはクラウド)を用意し、新しいOSと新しいSQL Serverを入れて、一度に移す
  • 作り直しが決まっているなら、作り直しが終わるまでの期間だけOSとデータベースの延長更新でつなぐ
  • どちらも決めきれない場合は、まずデータの控えが別の場所に確実に残っていることを確かめ、期限の半年前までに方針を決める日を社内の予定に入れる

古参の社員から「今のままで困っていない」と言われることもあるはずです。困っていないのは事実なので、否定する必要はありません。「期限が過ぎても動くが、守られていない状態になる」という違いを伝え、止まったときに誰の業務がどう困るかを一緒に書き出すと、話が進みやすくなります。

今週やること

  1. 保守契約書・納品書・見積書から「SQL Server」の記載を探し、版と種類が分かるかを確かめる。 分からなければ、システム会社にメールで版・種類・サービスパックを聞きます
  2. 同じサーバーのWindows Serverの版も聞き、OSとデータベースの期限を台帳に並べて書く。 期限が近いほうから、決める日を社内の予定に入れます
  3. この記事の「システム会社に聞くこと」6項目を、そのまま質問状にして送る。 返ってきた回答をもとに、版上げ・延長更新・移行・作り直しのどれにするかを決めます