「思ったより長い」は、最初のつまずきになりやすい
システム刷新を決意した承継社長の多くが、最初にずれるのが期間の感覚です。「古いExcel台帳をシステム化するくらいなら2ヶ月もあれば」「基幹システムの入れ替えも、決めてしまえば半年で終わるだろう」——そう見積もって開発会社に相談し、実際の提案スケジュールを見て驚く、という流れをよく見かけます。
この記事では、刷新の規模別におおよその期間目安を示し、なぜその期間がかかるのかを整理します。発注前にこの感覚を持っておくだけで、開発会社との最初の打ち合わせで的外れな期待をせずに済みますし、社内で納期を説明するときの根拠にもなります。
規模別・期間の目安
同じ「システム刷新」でも、対象の規模によって期間はまったく違います。まずは大枠の目安を押さえてください。
| 規模の目安 | 内容の例 | 期間の目安 |
|---|---|---|
| 小規模改修 | 既存Excel・紙台帳の一部システム化、ノーコードツールでの自動化、既存システムへの機能追加 | 1〜3ヶ月 |
| 中規模システム導入 | 特定業務(受発注・勤怠・経費精算など)向けのSaaS導入や、部門単位の業務システムを新規構築 | 3〜8ヶ月 |
| 基幹刷新 | 販売管理・生産管理・会計など複数部門にまたがる基幹システムの入れ替え、老朽システムからのフルリプレイス | 8ヶ月〜1年半以上 |
あくまで目安であり、要件の複雑さやデータ移行の量、社内の意思決定スピードによって前後します。特に承継後の会社では、先代の時代からのデータや業務フローが「動きから逆算しないと仕様が分からない」状態になっていることが多く、想定より時間がかかる傾向があります。
なぜその期間がかかるのか
小規模改修が1〜3ヶ月かかる理由
「Excelをシステムにするだけ」と考えると数週間で終わりそうに感じますが、実際には次の工程が挟まります。
- 現状のExcel・紙台帳の項目を整理し、何を残して何を捨てるかを決める
- 入力する人・見る人にヒアリングし、最低限の機能要件を固める
- 開発、テスト、実際のデータを使った動作確認
特に先代の時代から使われてきた台帳は、誰かが後から追加した独自の列や、暗黙のルールで運用されている項目が混ざっていることが珍しくありません。この整理に想定より時間がかかるケースが多く、詳しくは先代の台帳が「重くて開けない」を放置するとどうなるかでも触れています。
中規模システム導入が3〜8ヶ月かかる理由
部門をまたぐ業務の一部をシステム化する場合、関わる人数が増える分、合意形成の工程が長くなります。
- 現場の複数担当者へのヒアリングと要件のすり合わせ
- 既存データの移行方法の検討とテスト移行
- 運用開始後の並行稼働期間(旧システムと新システムを一定期間併用して確認する)
「システムを作る時間」よりも「関係者の合意を取る時間」の方が長くなりやすいのがこの規模の特徴です。要件をどうまとめるかで期間は大きく変わるため、要件のまとめ方。何から刷新するか固まっていない社長のための資料作りも参考にしてください。
基幹刷新が8ヶ月〜1年半以上かかる理由
基幹システムの入れ替えは、単純な機能追加とは工程の質が違います。
- 全部門の業務フローの棚卸しと、新システムでの業務フロー再設計
- 過去数年分のデータ移行と、移行後のデータ検証
- 決算期をまたぐ場合は、会計上の締めのタイミングを考慮したスケジュール調整
- 現場全員への操作教育と、旧システムからの完全な切り替え
先代の代から積み上げられてきたデータや、属人化した業務フローが多いほど、この棚卸しの工程が長引きます。基幹刷新の費用感とあわせて期間を見積もる際は、先代の代からの基幹システムのリプレイス費用はなぜ高い?内訳の読み方で内訳の考え方を確認しておくと、開発会社からの提案スケジュールを評価しやすくなります。業務を止めずに段階的に作り変える進め方を専門に扱う会社(システムリプレース、運営会社ゼットリンカーの受託メニュー)に相談し、現行調査の段階からスケジュール感をすり合わせておくのも一つの手です。
期間を短く見積もりすぎないための心構え
開発会社から提示されたスケジュールが「思ったより長い」と感じたら、まずはその内訳を確認してください。単に作業を引き延ばしているのではなく、要件のすり合わせやデータ移行、テストといった、省略すると後で必ず問題が起きる工程が積まれていることがほとんどです。
逆に、明らかに規模の割に短い期間を提示してくる会社には注意が必要です。工程を省略している可能性があり、後から仕様変更やスケジュール遅延が頻発する原因になります。
期間の目安を先に持っておくことは、開発会社と対等に話すための土台になります。焦って短い納期を求めるより、必要な期間を正しく見積もり、その中で優先順位をつけて進める方が、結果的に刷新はうまくいきます。
